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室町・戦国時代の歴史・古文書講座

歴史学研究者、古文書講師の秦野裕介がお届けする室町・戦国時代の知識です。

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*このページは告知用に一番上に置いています。2ページ目からご覧ください。 2022年9月10日にイーストプレス社から渡邊大門監修『徳川家康の生涯と全合戦の謎99』が出ます。天正壬午の乱から奥州仕置きまでの家康について書いています。Q38〜Q52までが私…

足利尊有御内書

またあやしげな人物が出てきました。足利尊有。足利氏関係のウィキペディアを見ている方は誰だかわかります。大覚寺義昭です。 こういう「要出典」と言いたくなる場合は『大日本史料』のデータベースを見てみると色々わかります。義昭が「尊有」と名乗ってい…

日野義資の所領没収

久しぶりの更新です。 日野義資、と言えば、義教ファンからすれば「ああ、あの人ね」とすぐに分かるネタです。一応義教ファンではない方も読んでいる可能性を考慮して日野義資と足利義教について説明しておきます。 一般に言われているのは次の通りです。 日…

足利義教容疑者を殺人の容疑でうわなにをするくぁwせdrftgyふじこlp

備忘録です。 『公名公記』(西園寺公名の日記)永享十年(一四三八)七月二十二日条に次のような記述がありました。 武家去十三日、以金杖被殺害座右痴女云々。未曾有事也。 ちなみに伏見宮貞成の仕女で、義理の母(父栄仁親王の側室)の東御方は「金打」(…

「関東大名」南部氏

『看聞日記』応永二十五年八月十日条に次のような記述があります。 関東大名南部上洛、馬百疋・金千両室町殿へ献之云々 この短い史料にはいろいろ考えるべき点があります。例えば「金千両」というその「金」はどこの産か、という問題も「奥州の砂金と言えば…

伊勢貞陸の結婚と明応の政変ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

『新九郎、奔る!』13集の132ページから新九郎の従兄の伊勢貞宗の嫡男伊勢貞陸の縁談があります。正親町三条公綱の末娘との婚姻です。九代将軍足利義尚の寵愛していた女性が、義尚の寵愛が薄れたため、大御台所の日野富子の仲介で成立しました。そのこ…

大館尚氏登場ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

ぐずぐずしているうちに第13集が出て久しくなりました。 新九郎、奔る!(13) (ビッグコミックス) 13集では大館尚氏(おおだちひさうじ)が活躍しています。「大館」は「大舘」と書かれることが多いので本ブログでは「大舘」で通します。 初登場は意外と…

優しい足利義教

まるで「きれいなジャイアン」みたいなタイトルです。 ドラえもん メモ帳 きれいなジャイアン 藤子・F・不二雄ミュージアム限定 室町幕府六代将軍足利義教といえば「万人恐怖」「将軍犬死」などの言葉が思いつきます。その義教が優しいとは、まるであのジャ…

堀越公方足利政知の暗い情熱ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

4月12日に『新九郎、奔る』最新刊の13巻が発売される、ということで少しばかり焦っています。新しい仕事に1年前について以来、なかなかブログを書く力が残っていない、というのが現状です。 新九郎、奔る!(12) (ビッグコミックス) 12巻の78ページに「「…

生に執着した後花園天皇の最期

『鎌倉殿の13人』の最終回での北条義時の壮絶な最期が話題ですが、負けず劣らずの生への執着を見せたのが後花園法皇です。 文明二年(一四七〇)十二月二十六日、後花園法皇は中風で倒れます。 彼は投薬を指示しますが、もはや薬を服用することもできない容…

龍王、のちの今川氏親2ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

ゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』第11集でも龍王、のちの今川氏親が大活躍中です。 新九郎、奔る!(11) (ビッグコミックス) 今川氏親といえば今川義元の父親で、戦国大名として今川家を隆盛させた名君です。 戦国IXAでは以下のカードです。 今川氏親(C…

伊勢盛頼と今川家関係の揉め事2ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』第11集発売!

ゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』第11集が発売となりました。 新九郎、奔る!(11) (ビッグコミックス) すっかり新九郎にとってはいい兄貴分となった伊勢九郎盛頼の登場です。 以前盛頼と今川家雑掌のトラブルを記事にしました。 sengokukomonjo.hatenab…

『神風頼み』試し読み

拙著『神風頼み』(柏書房)が文春オンラインで紹介されました。Yahoo!にも掲載されています。ご一読ください。 「天皇を機関車にたとえるとは何か!」美濃部達吉「天皇機関説」が国会で揉めにもめた政治的背景(Yahoo!) 「外道の所業である」発案者でさえ…

拙著『神風頼み』柏書房の詳細な目次

7月21日、私の2冊目の単著となる『神風頼み』が出版されます。 神風頼み(一般書/単行本/日本歴史/)柏書房 神風頼み 根拠なき楽観論に支配された歴史 神風頼み 根拠なき楽観論に支配された歴史 [ 秦野 裕介 ] 「日本は神風が吹く、神に守られた特別な国」…

龍王、のちの今川氏親ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

『新九郎、奔る!』第10集から龍王についてです。 新九郎、奔る!(10) (ビッグコミックス) この第10集は今川義忠戦死後の家督争いがとりあえず終結し、義忠従兄弟の今川新五郎範満が家督を相続、駿府の館に入ったところから始まります。 小川の長谷…

『新九郎、奔る!』第10集出版!ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

『新九郎、奔る!』第10集が出版されました。 新九郎、奔る!(10) (ビッグコミックス) 新九郎、奔る!(10) (ビッグ コミックス) [ ゆうき まさみ ] 今川義忠戦死後の今川家の内紛の収束、そしてそれに伴う伊都(義忠後室、新九郎姉、北川殿)と龍…

足利義視ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

足利義視といえば将軍にならなかった足利氏の中でも有名な方です。中学受験でも出てくる可能性はありますし、高校受験でも出てくる可能性はあります。応仁の乱を扱う際に「将軍家の後継争い」で試験に出なくても、名前くらいは出てくる可能性は大いにありま…

「どうする家康」瀬名姫のご先祖登場!ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

『新九郎、奔る!』第9集51ページに堀越源五郎義秀という人物が出てきます。これ以降この源五郎は新九郎のよき協力者として現れます。 今川義忠死後に駿河は真っ二つに割れます。義忠遺児の龍王丸はまだ幼く、しかも義忠は幕府からの心証が最悪という事情も…

『新九郎、奔る!』第9集の太田道灌と伊勢新九郎の談合ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

昨日ゆうきまさみ氏の『新九郎、奔る!』第9集が発売になりました。 内容は今川義忠の戦死から今川範満の家督代行就任までの流れで、52話から58話が収録されています。そのうち5話が「道灌」という見出しで、新九郎と太田道灌との交渉がメインとなって…

足利義政ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

ゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』解説です。 本作は基本的に悪役がいません。悪役となりそうな人物、例えば新九郎の甥の龍王丸(のちの今川氏親)氏親を排除しようとした今川新五郎範満も今川家の行く末を真剣に憂える人物であり、自身の欲望ではなく、彼な…

大内政弘ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

ゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』解説、今回は「西軍最強のコンビにして乱の急先鋒!」と伊勢貞藤(新九郎の叔父で新九郎の実母の再婚相手、西軍の政所執事)に紹介されている大内政弘です。 西軍関係者であるがために新九郎との絡みはほとんどありませんが…

斯波義廉ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

三管領家の中で圧倒的に存在感のない斯波武衛家の続編です。前回は斯波義敏でしたが、今回はライバルの斯波義廉(しばよしかど)です。 sengokukomonjo.hatenablog.com ただでさえ影の薄い斯波武衛家の、それも西軍とあって新九郎との接点はありません。第2…

斯波義敏ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

三管領家の中で一番影の薄い斯波家です。この斯波家はもともとは一番家格の高い家柄ですが、色々ありすぎて『新九郎、奔る!』のころには一番影が薄くなっています。 それでも『新九郎、奔る!』第1巻では56ページで伊勢貞親に相談する斯波義敏が初登場して…

畠山氏の内紛ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

ゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』の前半部の大きな山が応仁の乱です。 応仁の乱はなぜ起きたのでしょうか。教科書的には将軍家の後継者争い、細川勝元と山名宗全の幕政の主導権争い、大名の後継者争いとされます。近年の研究では将軍家の後継者争いはきっか…

畠山政長と畠山義就ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

『新九郎、奔る!』における大きなイベントが応仁の乱です。応仁の乱が起きた大きな原因の一つが畠山氏の内紛です。 『新九郎、奔る!』でも畠山の争いが描かれています。 畠山義就(よしひろ)の初登場シーンは第1巻172ページで、「(文正の政変の)六年前…

細川勝元と山名宗全ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

足利義政が政治に不熱心、というのは後世の記述で、当時の記録を追っていく限り義政という人物は極めて権力欲の旺盛な人物ではあります。義政は季瓊真蘂や伊勢貞親を側近として将軍親裁政治を推し進め、それに対抗する細川勝元・山名宗全連合と厳しく対立し…

文正の政変ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

ゆうきまさみ氏の『新九郎、奔る!』の最初は三十八歳の新九郎が堀越公方の御所を襲撃するシーンから始まりますが、そこから十一歳の千代丸に戻ります。そしてその千代丸が伊勢宗家に同居する実父の伊勢備前守盛定の邸に引き取られてすぐに起きたのが文正の…

長禄・寛正の飢饉ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

トンガの海底火山であるフンガトンガ・フンガハアパイ火山のVIE(火山爆発指数)は6と言われています。これは「並外れて巨大」「100年に一度」という状況で、近年ではフィリッピンのピナトゥボ火山(1991年)が同等の噴火規模と言われています。この…

伊勢氏とはーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

ゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』は伊勢新九郎盛時を主人公としています。伊勢新九郎盛時は『北条早雲』として知られる人物です。出家後は早雲庵宗瑞と名乗り、「伊勢宗瑞」と呼ばれています。実際には「北条」を名乗ったのは彼の子の氏綱の代からで、彼自…

今川義忠にみる戦国大名化の契機ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

『新九郎、奔る!』第8巻の表紙は今川義忠です。 新九郎、奔る!(8) (ビッグコミックス) 新九郎、奔る!(8) (ビッグ コミックス) [ ゆうき まさみ ] 今川家で最も有名な今川義元の祖父にあたり、北条早雲こと伊勢新九郎の義兄にあたります。今川義忠…