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室町・戦国時代の歴史・古文書講座

歴史学研究者、古文書講師の秦野裕介がお届けする室町・戦国時代の知識です。

後花園天皇ノート

生に執着した後花園天皇の最期

『鎌倉殿の13人』の最終回での北条義時の壮絶な最期が話題ですが、負けず劣らずの生への執着を見せたのが後花園法皇です。 文明二年(一四七〇)十二月二十六日、後花園法皇は中風で倒れます。 彼は投薬を指示しますが、もはや薬を服用することもできない容…

長禄・寛正の飢饉ーゆうきまさみ氏『新九郎、奔る!』を解説する

トンガの海底火山であるフンガトンガ・フンガハアパイ火山のVIE(火山爆発指数)は6と言われています。これは「並外れて巨大」「100年に一度」という状況で、近年ではフィリッピンのピナトゥボ火山(1991年)が同等の噴火規模と言われています。この…

後花園天皇をめぐる人々ー日野勝光

久しぶりの更新です。 本日は日野勝光を取り上げたいと思います。 日野勝光は有名な日野富子の兄に当たり、その立場を生かしてかなり強引な政務運営を行い、「押大臣」(おしのおとど)と言われた、とされています。 NHK大河ドラマ『花の乱』で草刈正雄さん…

『乱世の天皇』の秦野裕介が嘉吉の乱を書くと

『乱世の天皇』の秦野裕介が嘉吉の乱を書くと というか、もう『乱世の天皇』の中に書いてあるし。何格好つけてんだ、というネタでしかありません。 これが『乱世の天皇』の秦野裕介が安倍晋三政権を総括する、とかだったら格好がつくのですが、肝心の中身が…

足利義教にまつわる誤解

足利義教の評伝をいつかどこかで書こうと決めましたが、まずはネタ作りです。 NHKの「知恵泉」という番組でそういえば足利義教が取り扱われていました。ググってみるとその番組の中身が分かりました。ただかなり違うんじゃないかな、と思わせるところがあり…

足利義教の評伝の構想

後花園天皇の評伝を書くと、次の課題は足利義教の評伝です。 言わずと知れた室町幕府六代将軍です。足利義満の子として生まれ、青蓮院門跡から延暦寺の天台座主を務めた高僧です。兄の足利義持の死去に伴い、くじ引きで将軍に選出され、将軍権力を強化しよう…

拙著『乱世の天皇』見どころ9ー巻末の参考文献

ツイッターの相互フォローさんのツイートで嬉しいものがありました。拙著『乱世の天皇』(東京堂出版)巻末の参考文献欄にご注目くださっています。そこも私なりに一つのこだわりとなっています。 www.tokyodoshuppan.com なお拙著は現在全国の書店で好評か…

拙著『乱世の天皇』見どころ8ー天皇家の名前

拙著『乱世の天皇』の読み仮名の苦労を前エントリでしましたが、天皇家の諱(いみな)は結構苦労することが多いです。 茂仁(とよひと)=後堀河天皇 秀仁(みつひと)=四条天皇 豊仁(ゆたひと)=光明天皇 幹仁(もとひと)=後小松天皇 成仁(ふさひと)…

拙著『乱世の天皇』見どころ7ー読み仮名の苦労

これは「見どころ」というか、苦しむところなのですが、読み仮名の苦労です。 読み方が定まっている名前は簡単です。「足利義政」というのはそれなりに歴史に関心のある方であれば読み仮名は不要でしょう。しかしもちろん拙著を手に取られ、読んでいただく方…

拙著『乱世の天皇』見どころ6ー後花園天皇の晩年

後花園天皇(厳密には上皇、以後全て後花園天皇に統一する)の出家は帝王不徳の責めを感じて出家したのは事実ですが、それはいわゆる引責辞任というようなものではありません。後花園天皇は閉眼の直前まで、さらには死後もなお「戦い続けた天皇」でした。 拙…

拙著『乱世の天皇』見どころ5ー津軽安藤氏は十三湊に還住していない

発売も近づいてきた拙著『乱世の天皇』(東京堂出版)ですが、いきなり津軽安藤氏が出てくることに戸惑う方も多いかもしれません。しかし拙ブログにて何回も述べてきたように、後花園天皇は東北・北海道史にもゆかりの深い天皇です。拙著の、他の後花園天皇…

拙著『乱世の天皇』の装丁が出来上がりました

拙著『乱世の天皇』(東京堂出版)の装丁が出来上がってきました。 東京堂出版様のサイトから見ることができます。 www.tokyodoshuppan.com ご担当くださったのがここの常松靖史様です。 tune09.sakura.ne.jp 実は私は出版の本をいくつか購読していまして、…

拙著『乱世の天皇』見どころ4ーアンチヒーロー

今日は何の日、後小松天皇の誕生日だそうです。 拙著として7月末に出版予定の『乱世の天皇』(東京堂出版)の見どころ紹介です。 乱世の天皇 観応の擾乱から応仁の乱まで 後小松天皇はどんな人でしょうか。詳しくは過去ログをご覧ください。 sengokukomonjo…

拙著『乱世の天皇』見どころ3ー室町時代のヒーロー

拙著『乱世の天皇』関連のネタです。室町時代のネオヒーロー(阪神タイガースのアンディ・シーツの応援歌)を提案しようと思っています。 乱世の天皇 観応の擾乱から応仁の乱まで 今谷明氏の『謎解き中世史』という本があります。 謎解き中世史 この中で永井…

拙著『乱世の天皇』見どころ2ー嘉吉の乱

考えてみれば今日、6月24日は嘉吉の乱の日でした。というわけで慌ててアップします。 乱世の天皇 観応の擾乱から応仁の乱まで 嘉吉の乱をざっくり説明しておくと、六代将軍足利義教が播磨・美作・備前守護職であった赤松満祐に暗殺された事件です。 足利…

拙著『乱世の天皇』見どころ1ー禁闕の変は後南朝復興運動ではない

拙著『乱世の天皇』見どころのご案内です。 乱世の天皇 観応の擾乱から応仁の乱まで 禁闕の変をご存知でしょうか。 こちらでアウトラインを紹介しています。 sengokukomonjo.hatenablog.com もっと手短にまとめますと、後南朝の皇胤である金蔵主と通蔵主、後…

拙著『乱世の天皇ー観応の擾乱から応仁の乱』(東京堂出版)刊行のお知らせ

拙著が発売されます。 乱世の天皇 観応の擾乱から応仁の乱まで 皇統の分裂を引き起こした後嵯峨上皇による後深草天皇から亀山天皇の譲位を皮切りに天皇家は自律性を失い、幕府を倒壊に追い込み、日本社会を動乱に巻き込みました。その余波は足利義満による統…

後花園天皇の死後の内紛?般舟院のスペックが半端なくすごかった?

久しぶりの更新です。 昨日オンライン日本史講座で泉涌寺について話していたのですが、思いっきり参考にした久水俊和氏の『中世天皇葬礼史』(戎光祥出版、2020年)で般舟三昧院について書いてありました。 そこで久水氏は後花園天皇の仏事をめぐる般舟…

意外な西軍贔屓

久しぶりの「後花園天皇ノート」です。 日野富子が息子の足利義尚を将軍にしようとして山名宗全に接近し、応仁の乱の端緒を作った、という話はしばしばなされます。『応仁記』に記されていますが、『応仁記』の記述については近年では疑問も出されています。…

後花園天皇から成仁親王への手紙

後花園天皇の皇子はどんな人?父帝との関係は?調べてみました。 後花園天皇には皇子が一人しかいませんでした。嘉楽門院大炊御門信子所生の成仁(ふさひと)親王です。母親の大炊御門信子は実際には大炊御門家の姫ではなく、地下の楽人の娘です。医師の和気…

後南朝の歴史

皇居を放火して玉体を狙い奉り、あまつさえ三種の神器を奪って逃走した禁闕の変の犯人の日野有光。彼の経歴は?家族は?背後関係は?調べてみました。 日野有光という人は日野家の当主です。 日野家と言いますと我々は足利将軍家の外戚となった日野富子とそ…

後花園天皇をめぐる人々ー広橋兼郷

追記:この記事を基にして『研究論集 歴史と文化』第5号に「後花園天皇と貞成親王の関係についての基礎的考察」を掲載させていただきました。 後花園天皇と父親の伏見宮貞成親王の間を引き裂くようなデマを言いふらして失脚した広橋兼郷、行動が少し怪しい、…

ハイホー!7dと足利義教

ハイホー!7d、と言っても分かっていただけない方が多いと思います。ディズニージュニアで放映している「白雪姫と七人の小人たち」のスピンオフ番組です。若き七人の小人たちがしあわせ女王様を魔法使いのヒルディ・グリム夫妻から守る、という話です。 『…

祝!後花園天皇生誕600年その1

『看聞日記』応永26年6月17日条を見てみます。 十七日。雨降。(中略)抑二条局産所ニ出〈庭田〉。則平産〈寅刻〉若宮云々。尤珍重也。面々賀申。三位則御盃持参。 これは『後花園天皇実録』には次のように「按」があります。 御降誕ノ日次、看聞御記ニ…

後花園天皇をめぐる人々−細川持之、後花園天皇綸旨発給の決断

嘉吉の乱で足利義教が弑殺され、細川持之が幕政を掌握することになりましたが、持之の優柔不断、無能ぶりが強調され、綸旨を出して嘉吉の乱を終わらせた後花園天皇の引き立て役になっている、というイメージがあります。 sengokukomonjo.hatenablog.com しか…

室町時代に伏見に飛来したペリカン

こんな記事を見つけました。 www.ndl.go.jp ここのペリカンの説明によると永享2年に京都伏見の舟津で捕らえられたのが日本における最古の記録、ということで、後花園天皇と貞成親王に関することには食いつく拙ブログとしてはこれは触れないわけにはいきませ…

後花園天皇をめぐる人々−細川持之、嘉吉の乱に翻弄された悲運の管領

2022年1月20日に少し追記。 久しぶりの「後花園天皇をめぐる人々」です。 今日取り上げるのは「決められない政治」の象徴と某公共放送でレッテルを貼られてしまった細川持之です。これは某公共放送だけでなく、多くの先学がそう行っているので、通説…

足利義教と後花園天皇のどちらが上だったのか

久しぶりの歴史雑記帳です。令和改元便乗企画である後花園天皇の改元が終わりましたので、平常運転で「後花園天皇ノート」をはじめとした「歴史雑記帳」をお送りいたします。 表題の「足利義教と後花園天皇のどちらが上だったのか」という問題ですが、一言で…

昔の改元の時の候補とその出典を見てみよう4−文安から宝徳へ−

平成から令和への改元に便乗した企画です。平成最後の改元便乗企画となります。次回の宝徳から享徳への改元が令和最初の改元便乗企画です。後花園天皇はかなり改元を好んだようで、改元すると支持率がアップでもしたかのようです。 文安六(一四四九)年、四…

昔の改元の時の候補とその出典を見てみよう3−嘉吉から文安へ−

平成から令和への改元に便乗した企画、後花園天皇の時期の改元の出典を見ようという企画です。一体どのような改元案が、どのような出典に基づいて出されていったのか、ということを見ることで、間も無くとなった改元がより身近に感じられると思います。 この…