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室町・戦国時代の歴史・古文書講座

歴史学研究者、古文書講師の秦野裕介がお届けする室町・戦国時代の知識です。

古文書って何?

「室町・戦国時代の歴史・古文書講座」ということで、一応室町時代の研究者で古文書講師も務めております秦野裕介がお送りします。

「古文書って何?」という質問に対する答えですが、江戸時代の人の「古文書」と戦国時代以前の人の「古文書」とは実は違います。一般に「古文書」(ちなみに読みは「こもんじょ」です)と言えば、

古文書とは - 古文書ネット

で書いている通り、「昔の人が書いた文書」なんですが、三省堂辞書の「古い時代の文書。古い記録」というのになりますと、戦国時代以前の研究者はおそらく一様に「記録と文書はちがーう!」とツッコミを入れるでしょう。

どういうことでしょうか。戦国時代以前の時代を研究している人にとっては「文書」と「記録」は違うんです。「文書」とは「特定の対象に伝達する意思をもってする所の意思表示の所産」(佐藤進一『古文書学入門』法政大学出版局)ということになります。意味がわかりませんね。私も書いていて意味がわかりません。

分かりやすくいうと、AさんからBさんという、特定の人に対してAさんの意思を伝えるものが「古文書」です。相手が特定されていることが「文書」の定義であって、Aさんが一方的に誰かに対してではなく、不特定の相手に自分の意思を表明するものを「記録」と言います。日記が代表的ですね。著述類もそうです。

ちなみに「文書」は紙に書かれている必要はなく、金石文や木簡のように紙ではないものに書かれた「文書」も存在します。「長屋王木簡」なんて有名ですね。

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古文書学入門

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