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室町・戦国時代の歴史・古文書講座

歴史学研究者、古文書講師の秦野裕介がお届けする室町・戦国時代の知識です。

室町幕府奉行人奉書の解説5−折紙奉書

続きです。もう少しスピードアップしたいと思います。

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ニ函/44/6/:室町幕府奉行人連署奉書|文書詳細|東寺百合文書

二行目から見ていきます。

一字目は「申」と問題なく読めます。「山城國」もそう問題はないでしょう。「城」がなれないとむずかしいかもしれませんが「山○國」と来たら「山城國」がうかぶことでしょう。「國」は「国」の旧字です。高校時代の鐡道研究部の顧問は舊漢字舊假名遣ひにこだはつていらつしやいました。

 

次は「乙訓郡」(おとくにぐん)です。虫食いが入っているために「乙」の字が読みにくいですが、私は自分の出身高校が「乙訓高校」であるために一瞬で読めました。ちなみに乙訓高校は稲田朋美議員、有田芳生議員を輩出しています。これをどう見るかはお任せします。今年は選抜に初出場を決めたということで、寄付のお願いが来ています。ちなみに昔は向日町、長岡町、大山崎町だったのですが、長岡京市向日市と市制が施行されたため、現在は乙訓郡大山崎町だけです。乙訓高校も西乙訓高校も長岡京市に立地しており、大山崎町にはありません。

 

3行目以下は一気に行きましょう。1行目から載せます。

寒河出羽入道常文

山城国乙訓郡

上久世公文職名田畠

事先度被仰之(処の異体字

無音云々無謂早可被

明申之由候也

応永十九年六月十二日

       常進(花押)

       善通(花押)

東寺雑掌

 難しいのは3行目の「職」、4行目の「」5行目のほとんど、6行目のほとんど、となるでしょう。

5行目については「無」のくずしは頻出なので覚えて下さい。「謂」は言偏がわかればあとは辞典の出番です。「可被」は頻出です。

6行目は、日編がわかるかどうか、です。『くずし字解読辞典』の方がいいかもしれません。口偏ととらえるとなかなか脱出できません。

下の写真のようになります。上の円は口偏です。下は日編を表しますが、上の方を見ていいのがなければ下の方の日編で調べます。

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ありました。

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アキラ100%、もとい「明」で100%間違いないでしょう。あとは決まり文句なので覚えるのが吉です。

中身が相変わらずすっかすっかですが、また次回。