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室町・戦国時代の歴史・古文書講座

歴史学研究者、古文書講師の秦野裕介がお届けする室町・戦国時代の知識です。

竪紙奉書補遺

満済准后日記』を繰っていて外宮遷宮関連の記事を見つけました。

 

ちなみに満済とは、足利義満足利義持足利義教の三代の護持僧を務めた真言宗の高僧で、醍醐寺三宝院門跡です。

 

有名な事績としては義持が死ぬ時に枕頭に侍り、後継者をめぐってくじ引きを行うことを決定したことが挙げられます。そのくじ引きでは候補者の名前をくじにかきいれる役割を行なっています。ちなみに糊付けを山名時熙(山名宗全の父親)、八幡宮に持って行って引くのが畠山満家畠山政長畠山義就の祖父)でした。

 

では見ていきましょう。永享五年二月二十一日条です。

就外宮遷宮事、当時神居仮殿既及四ケ年間。及顛倒計也。仍去年扶木ヲ以テ支申也。

件の竪紙奉書が出されたのが永享三年ですから、二年が経過しています。まだ終わってなかったんですね。仮の神殿が倒れそうなんで、木で支えるというマンガのボロ家の描写のような形になっています。

一応読み下しをつけておきます。

外宮遷宮の事に就て、当時神居の仮殿既に四ケ年間に及ぶ。転倒に及ぶばかりなり。よって去年扶木をもって支え申すなり。

それに義教はキレます。翌二十二日条には次のようにあります。

昨夕被仰出、外宮遷宮役夫工米事、面々厳密可致其沙汰旨管領、畠山、山名御返事同前也。仍此子細令披露了。管領来臨。折榼等送賜了。山名来臨。外宮御遷宮年中何様ニモ可申沙汰云々。

前日に話を聞いてキレッキレの義教から叱られたのか管領細川持之)、畠山(畠山満家)、山名(山名時熙)が「しっかりと沙汰いたします」と返事があり、さらに義惇と時熙に至ってはベコベコ謝ってわざわざやってきています。義惇は手土産まで持ってきています。

一応読み下ししておきます。

昨夕仰せ出さる 、外宮遷宮の役夫工米の事、面々厳密にその沙汰致すべきの旨、管領、畠山、山名の御返事同前なり。よって此の子細を披露せしめおわんぬ。管領来臨。折榼(たる=酒樽のこと)等送り賜いおわんぬ。山名来臨。外宮御遷宮年中に何様にも申し沙汰すべしと云々。

 また折紙奉書の続きは今日中にアップします。