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室町・戦国時代の歴史・古文書講座

歴史学研究者、古文書講師の秦野裕介がお届けする室町・戦国時代の知識です。

キレる後花園天皇

題名は田村航氏の「揺れる後花園天皇」(『日本歴史』818、2016年7月)のパクリです。

 

田村氏の論文は、永享の乱における治罰綸旨の復活をめぐって、従来は幕府権力の動揺を朝廷の権威で補おうとした、とされてきたものを、逆に動揺する後花園天皇の権威を治罰綸旨で安定させようとした、という趣旨です。後光厳流と崇光流の皇統の対立に注目した論文で、非常に示唆に富む論文です。

 

嘉吉三年の正月二十七日のことです。禁裏に松囃子がやって来ました。看聞日記には次のようにあります。

 

内裏で松囃子を柳原が行った。但しつまらなかったので一番が終わる前に御追い出しになった。小犬を呼ばれた、ということだ。(内裏松拍柳原仕、但比興之間一番不終御追出云々。小犬召仕云々。 

 

貞成親王が「御追出」と敬語を使う「内裏」関係者は後花園天皇以外いないだろう、と考え、面白くなさにキレて追い出したのは後花園天皇と考えました。まあ、自己主張の強そうな天皇らしい逸話であると思います。