オンライン日本史講座二月第四回「蝦夷地・琉球と室町幕府」
北海道の中世史はほとんど研究が進んでいないと言われます。しかし実際には意外と研究が進んでいる、と言える気もしてきました。
海保嶺夫氏の『中世蝦夷史料』『中世蝦夷史料補遺』がやはりこの研究の大きな一里塚であったと思います。
海保氏の『中世の蝦夷地』も比較的古く「中世の蝦夷地」に言及した研究です。
この研究分野も対外関係史の進展によって光が当てられる分野となっています。
例えば1988年には『北からの日本史』シリーズが刊行されます。
この問題が注目を集めたのは、アイヌの研究が進展してきたこともあります。1980年代まではアイヌの研究をしたい、と言っても相手にされないことが普通だったわけです。しかし80年代半ばには国家の枠組みを外して考える地域史の視点が流行し、その流れの中にアイヌの研究が進んだこともあります。
特に北海道と本州の関係については十三湊の発掘が進展し、従来なぞの多かった十三湊を本拠とした津軽安藤氏に関する研究が本格的になってきた、という面もあるでしょう。
この時期の安藤氏に関する本としては以下のようなものがあります。
こういう書籍がどんどん発表され、十三湊の発掘調査の成果が広く市民層に広げられました。
またこの頃には上ノ国で発掘調査が行われ、そこでの多くの発掘成果も大きく日本史を書き換えていきます。
北から見直す日本史―上之国勝山館跡と夷王山墳墓群からみえるもの
夷王山墳墓群ではアイヌと和人(アイヌ以外の日本列島居住者の総称)の墳墓が混在していたことからアイヌと和人の共存が指摘され、アイヌと和人が戦争状態であった、というだけの見方に大きく修正を迫るものとなっています。
近年では関根達人氏の次の著書も注目されます。
北海道の中世史と言えば絶対に外せないのが新藤透氏です。
とりあえず入手しやすい下二つの書籍は入手して読んでも後悔しません。北海道の中世史に関心のある方には強くお勧めします。