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室町・戦国時代の歴史・古文書講座

歴史学研究者、古文書講師の秦野裕介がお届けする室町・戦国時代の知識です。

本当に強い戦国武将は誰かベスト5私案

Qさま!で6月24日に放映された「本当に強い戦国武将ベスト15」がいろいろ言われているようで、そもそも「強い」ってどういう意味なのか、とかまあ悩むわけですが、普通に考えれば結果で見ても織田信長豊臣秀吉徳川家康に集中するだろうな、ということが容易に予測できるわけです。ガチの「歴史のプロ」に聞いたらどう考えてもそうなります。

 

で、これでは製作サイドも困るわけでいろいろ工夫するわけです。

 

ちなみに「歴史のプロ」の一員として私が当初挙げた五人(一応五人挙げろということなので)は以下の通りです。

 

ちなみに貼り付けている画像は「戦国IXA」の画像です。

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一人目 織田信長

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高い戦争遂行能力を評価しました。

二人目 豊臣秀吉

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結果論ではこの人を選ばない理由がありません。戦国時代を終わらせた人物です。「個の武力」はほぼ期待できないのでそこはマイナスです。

三人目 徳川家康

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江戸幕府260年の太平を築いた能力はまさに最強。家臣団の統率、人望など何を取っても圧倒的、後世の人々から嫌われるのも最強ゆえか。

四人目 足利義輝

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近年の研究の進展で新しい義輝像が出されつつあり、無力という評価は覆されつつあります。個の武力も申し分ありません。

五人目 上杉謙信

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戦さの強さと塩止めされた甲斐国に塩を高額で売りつけ儲けのタネにする経済観念とそれを美談に変えてしまう時空を歪める超人。イメージ先行の武将ですが実際にはイメージ以上の能力を持っていたと思われます。

 

で、三英傑に集中するのを避けたい、という意向で新たに作り直したのがこれ。

 

一人目 織田信長

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これは外せません。他の二人は信長に乗っかった、として除外できても、そもそも戦国時代を一気に終結に持ち込みかけたのは信長の卓越した能力故であり、これだけは別格と思います。

二人目 島津義弘

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あとは順位はあまり関係ありません。義弘は九州統一まであと一歩と迫った実力は島津四兄弟全体の問題ですがそこに加えて「島津の退き口」で加算しました。

三人目 朝倉宗滴

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九頭竜川の戦いでの奮戦ぶりと、78歳まで最前線で活躍し続けた元気さを評価してランクイン。あまり他の人が挙げないだろう、ということで選びました。

四人目 柴田勝家

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フロイスが「日本で最も勇猛な武将」と評価したことでランクイン。勇猛一途でこそこそした政治力はなさそうなイメージですが、賤ヶ岳に先行して足利義昭長宗我部元親まで巻き込んで羽柴秀吉包囲網を築こうとするなど政治力もあなどれません。

五人目 明智光秀

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謀略家というイメージが先行しがちですが、優れた軍略家であり、鉄砲の名人として個の武力でも秀でていましたが、領国での善政でも知られ、光秀の故地では今なお慕われています。

 

戦国時代の強い女性という項目もあって、私は以下の三人を選びました。

 

一人目 洞松院

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「誰やねん!」というツッコミが入りそうですが、細川勝元の娘です。赤松政則の妻となり、政則死後は養子の赤松義村を後見して三ヶ国の守護権を行使します。義村の挙兵をしのぎきり、数十年にわたって知行地安堵や諸役免除の「つほね(局)」名義の黒印状を発給し続けます。

二人目 高台院

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周囲の反対を押し切って身分差のある藤吉郎への恋愛結婚を貫く芯の強い女性であると同時にフロイスからも「大変な人格者」と言われる強い女性でした。

三人目 ガラシャ

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本能寺の変の後の運命の暗転の中でキリスト教と出会い、夫の細川忠興にだまって洗礼を受け、忠興と離婚しようとするもキリスト教徒は離婚できないと説得されるほど悪化した夫婦仲にも関わらず、関ヶ原では壮絶な死を遂げ、東軍の勝利に貢献した烈女。彼女の最期は戯曲「強き女」の主人公グラツィアの殉教として表現されました。

 

番外編として「総合的には弱かったけど、実はこの能力が、とっても秀でていた!戦国武将」という項目もあります。私はこの二名。

 

一人目 小田氏治

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「弱い戦国武将を選べ」と言われたら満票で彼でしょう。佐竹義重上杉謙信に敗れ続け、それでも再起し続けた最弱の武将です。名門小田家のネームバリューで生き続けたようなものです。あそこまで負けても負けても再起できたのは人望が無限大だったからかもしれません。もっとも佐竹義重上杉謙信という相手が悪すぎた、という説もあります。

二人目 足利義昭

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室町幕府を滅ぼした暗君ですが、信長包囲網を作るなど政治力はありそうです。ただ信長からも義教と並ぶ「悪御所」と指弾されるなど人望、統率力には問題おおあり。そういえば義教と信長って似ている、と言われたものですが信長は義教のことをディスっている、というのが面白いです。更にいえば故星野仙一氏は「好きな戦国武将はやっぱり信長ですか」と聞かれた時に「信長は裏切られるようなダメ人間(大意)」と発言し、「京極高次」と答えています。