源義経の戦歴は?あの人との関係は?
源義経、といえば現在でも人気が高いヒーローですね!
私も小学校時代、伝記を借りてきて涙を流しながら読んだ記憶があります。
そこで憎たらしい梶原景時が義経を散々にいたぶって最後は死に追いやるのですが、本当に憎らしく見えました。
そんな源義経について、これは室町時代に作られた『義経記』によるイメージでしかない、と言われています。調べてみました。
源義経は九条院の雑仕女であった常盤御前と河内源氏の棟梁の源義朝の間に生まれた、ということは前回お知らせしました。これは美福門院と藤原忠通の主導で行われ、義朝は父親がついにはなれなかった受領になったことも書きました。
平治の乱で父親を失い、その後しばらく平清盛の庇護下に置かれたのち、一条長成と結婚して嫡子の能成を産み、義朝との間に産まれた子も流罪ではなく無事に高僧への道を歩み始めた時に末子の牛若だけは鞍馬寺を出奔したので、夫のツテを頼って奥州に行ったことまでは前回のまとめです。
途中で元服して義経と名乗り、奥州藤原氏の庇護下に入りましたが、異母兄の源頼朝の挙兵を聞いて頼朝のもとに駆けつけ、義経の活躍が始まります。
ちなみに今若もいち早く駆けつけ、頼朝の正妻の政子の妹と結婚しています。所領の名前を取り、阿野全成となのっていました。乙若も頼朝のために駆けつけ、尾張国で平氏と戦って壮絶な戦死を遂げています。
義経といえば治承・寿永の内乱で木曽義仲討伐を皮切りに一ノ谷、屋島・壇ノ浦と平氏に勝ち続け、平氏を西海に滅ぼして源氏の恨みを晴らした、と言われています。
しかし目付役の梶原景時と対立し、景時の讒言を受けて頼朝から命を狙われ、逃避行の末に奥州藤原氏の庇護下に再び入ります。しかし庇護者の藤原秀衡の死後、嫡子に藤原泰衡は頼朝の圧力に屈して義経を殺し、その首を鎌倉に送りますが、頼朝は許さず、奥州藤原氏も滅ぼされます。
さて、義経の戦といえば、一ノ谷の逆落とし、屋島の奇襲、壇ノ浦の八艘飛びが有名です。しかし本当にあの坂を駆け下り、わずか数十騎で屋島を陥落させ、最後は超人的な身体能力を見せられるものでしょうか。
一ノ谷では義経が背後から奇襲をかけ、平氏を海上に追い落とした、とされています。ここで九条兼実さんの証言を聞いてみましょう。
「山の方より多田行綱が山手を攻めて落とした、と聞いている」(『玉葉』元暦元年二月八日条の意訳)
これだけを見ると、一ノ谷で平氏を倒したのは多田行綱ということになります。
それに対し一ノ谷と鵯越とは違うのであり、「山手」というのは福原で、一ノ谷は須磨で、両者はかなり離れているため、義経が一ノ谷を攻めた、という『平家物語』の記述は信頼できる、という見方もあります。
この辺はどちらにも言い分があり、どちらが正しいか、というのはわかりませんでした。
次に屋島です。少数の軍勢を多数のように見せかけ、さらに奇襲で平氏を海上に追い出すことに成功したことは梶原景時の報告からも明らかです。
少数で平氏の本拠地を失わせたこの戦いの実情はほとんどわかりません。いろいろな話が作られていますが、その虚実については慎重になるべきである、と言われています。
壇ノ浦です。これは潮の流れをうまく義経が使った、ということですが、実際に急流だったのか、あるいは義経が潮の流れの弱い小潮の時を狙ったのか、いろいろ言われています。実際には九州の陸上も源範頼に制圧されていたため、平氏はもはや海上部隊しかなく、陸と水軍の攻撃を受け、そもそも勝ち目がなかった、とも言われています。
ただこの時義経は致命的なミスを犯しています。
平氏との間のソフトランディングを目指さず、徹底的に追い詰めたために、平氏は安徳天皇と三種の神器を海に投げ込むという行為に出ます。想像力を働かせれば、相手を追い詰めればそういう挙に出ることは容易に予測できることです。
これについては義経が頼朝ではなく後白河の意向に従っていたから、という考え方があります。
そう考えれば、頼朝がせっかく平氏との講和を視野に入れたソフトランディングを考えていたのに、強硬策一本で最悪の結果を招いた理由もわかりますね。平氏を憎悪していたのは頼朝ではなく、後白河だったのです。確かに後白河は平治の乱以降、自分と折に触れ対立してきた平清盛を許していなかったのかもしれませんね。自身のこだわりである高倉皇統はすでに後鳥羽天皇によって継承されているので安徳天皇が帰ってきても邪魔なだけですから西海で悲劇的な崩御となった方が都合が良かったかもしれません。
そしてこれが頼朝と義経の不仲のきっかけになったのではないか、と呉座勇一氏は指摘しています。私もそう思います。
いかがでしたか?
ここまで義経の華麗な前半生について述べてきました。次回は悲劇的な後半生と、もしかしたらチンギスハンになったのかも?その真相は?そして義経といえば外せないあの人とはどんな馴れ初めなのか?その気になる真相は?ということを書いていきます。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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