室町幕府引付頭人奉書(『朽木家古文書』426 国立公文書館)
古文書入門です。
現物です。
翻刻。
佐分越前々司棟貞代忠泰申
美濃国蜂屋庄内太田郷并鷹栖
村・大針郷以下所々押妨事、重訴状如此
數ケ度觸遣之處不事行云々、其無謂、
所詮朝日小三郎相共莅彼所、止佐分加賀
入道并掃部助入道・龜寿丸等押領、沙
汰付下地於棟貞代、可執進請取之状、将又
狼藉之次第為有其咎、載起請之詞、可
被申請文之状、依仰執達如件
暦応四年十月廿八日 修理権大夫(花押)
佐々木出羽四郎兵衛尉殿
読み下し。
佐分越前々司棟貞代の忠泰が申す、美濃国蜂屋庄内の太田郷并びに鷹栖村・大針郷以下所々の押妨の事、重訴状此の如し、数ケ度觸れ遣わすの處、事行われずと云々、其の謂れなし。所詮、朝日小三郎相い共に彼所に莅み、佐分加賀入道并びに掃部助入道・亀寿丸等の押領を止め、下地を棟貞代に沙汰し付け、請取の状を執り進らすべし、はたまた狼藉の次第為有其の咎有らんがため、起請の詞を載せ、請文を申さるべきの状、仰せによって執達件の如し
引付頭人は裁判の責任者で、将軍の家政機関のトップである執事の職権と引付頭人の職権を統合する形で管領という職ができてきます。管領は引付頭人に代わって押領停止命令を出すようになります。引付頭人奉書は将軍家御教書に引き継がれることになります。
この文書も佐分加賀入道・掃部助入道・亀寿丸らによる押領(権利侵害)を停止する命令です。