室町幕府奉行人奉書の解説4−折紙奉書
今日は折紙奉書を見ていきます。
ニ函/44/6/:室町幕府奉行人連署奉書|文書詳細|東寺百合文書
京都府立京都学・歴彩館所蔵『東寺百合文書』ニ−44−6号文書です。
前回まで取り上げてきた文書に比べるとかなり字が崩れています。宛先が東寺なので、前回取り上げた守護代に比べると下っ端(と言ってはバチが当たりますが)の東寺雑掌なので、字が崩れ、折紙という形式になっています。署名も官途ではなく、実名(じつみょう)です。
一字目からハードなものが来ました。ただ救いはうかんむりであることは、古文書の素養が全くない人でも分かることです。
そこで『くずし字用例辞典』を取り出しましょう。私の場合は野球肩(棘上筋痛)なので棘上筋を鍛える必要があるので、取り出しながらしばらく運動をします。ダンベルの代わりです。運動が終われば表紙をめくって「漢字部首索引」を出します。うかんむりは三画で、232ページにあるそうです。面倒臭いので写真は省略します。
一つずつ文字を見ていきます。ここも省略します。
するとこういう文字が見えて来ました。244ページです。
「寒」で決まりですね。
次は少し慣れている人は簡単ですが、慣れないと難しいです。部首はさんずいです。つくりは「可」というのはなんとなくわかりますかね。「氵」に「可」で「河」です。
三文字目は頻出なので覚える方がいいです。「出」です。こういうくずれの大きい文字は頻出であることを示します。こういうのをいちいち『くずし字用例辞典』を引いていると、棘上筋が肥大して、手のつけられないことになりかねません(ならない、ならない)。
四字目は「羽」と読めます。「出羽」という上野⇆秋田のブルトレ(寝台客車特急)を知っていれば簡単に読めます(←違)。秋田県と山形県が出羽国ですね。
続く「入道常文」までは簡単に読めたことにしておきます。
一行目は「寒河出羽入道常文」となります。人の名前です。イ−73号文書にも「寒川出羽入道」と出てきます。寒川氏は讃岐国の国人で、細川氏の被官でした。出羽国にいる「寒河江氏」とは異なりますので注意が必要です。上久世荘の公文職を務めていました。
では内容はすっからかんですが、続きは次回。