足利義晴御内書(『朽木家古文書』32 国立公文書館)
朽木家古文書三十二号文書「足利義晴御内書」です。
つべこべ言わずに現物を見てみましょう。
年号がありません。これは御内書と呼ばれる古文書の特徴です。花押が日付の下(これを「日下」といいます)にあります。
この文書については過去に触れたことがあります。
とりあえず釈文いきましょう。
と言いたいところですが、実は以前にやっていました。
そこでここでは字の崩しそのものをみておきましょう。
爰本之儀連々粉骨
尤神妙弥抽忠節
者肝要候仍料所近
江国首頭之事申付候也
七月十六日 (花押)
佐々木民部少輔とのへ
それほど難しい文字はありませんが、最後の「申付候也」の「候」が非常に小さくまとめられているのでわかりにくいかもしれません。「付」の点が下に伸びているように見えますが、これが「候」です。まあ点の一部にしか見えません。この辺の「候」を見つけられるようになると古文書の読みも一歩進んだ気持ちになれます。
あと慣れないと読みにくい字として「連」があるでしょうか。一行目の真ん中付近です。これは「しんにょう」を理解することが重要です。字の下に一本線がありますが、これがしんにょうです。しんにょうがわかるとあとは『くずし字用例辞典』が使えます。逆に言えば部首がわからないと『くずし字用例辞典』で引く時に、ものすごくハードルが上がってしまいます。
古文書を学ぶ時にまず欲しい一冊が『くずし字用例辞典』です。
使い方については過去に記事にしました。ご覧ください。
というわけで今回は過去記事のつぎはぎでした。実は過去に記事にしていたことを忘れていて、途中で思い出したのですが、なんとなく引くに引けなくなってしまいました。典型的な「コンコルドの誤謬」です。