拙著『乱世の天皇』見どころ12ー今谷明先生による紹介
今谷明先生が『週刊 エコノミスト』2020年9月1日号で拙著をご紹介くださっています。
今谷先生といえば、拙著のあとがきにも記しましたが、拙著の出発点と言っても過言ではない方です。面識はないのですが、今谷先生の『室町の王権』(中公新書)はいまだに私のバイブルとして常に繙いています。
この著作のすごいところは発表以来30年も経ち、多くの批判にさらされているにも関わらず、現在もなお研究史の最前線にあり続けていることです。正直言って私はこの書もその主要部分は克服された、と思い込んでいました。ところが今なおその見解は影響力を持ち続け、それどころか新たに復権の兆しすら見えます。恐ろしいほどの生命力です。今なお室町時代の朝廷について知りたければ、真っ先に参照されるべき書物です。30年の時を超えて今なお最前線という本も、それほどないのではないか、と思います。
今谷先生に勇気を持って拙著を謹呈いたしましたところ、懇切なお返事をいただき、恐縮しきりですが、今回ご紹介までいただきまして、大変ありがたいことと感激しています。
特に下記の部分は、私が研究生活に入ってずっと考えてきたことです。
同じ封建制といっても欧州の中世とは異なり、あくまで日本の中世には独特の面があったことがこの将軍と天皇の関係に象徴されていることを言いたかったのではないかと推察する。
そもそも私は日本中世の封建制を、ヨーロッパ封建制と比較する手法に疑問を感じて海域アジア研究を選択したという経緯もあります。この成果は拙著第八章として結実しています。
それともう少ししたら公になりますが、それまでに下記のエントリを宣伝しておきたいです。
ここで「世保持頼」について述べた箇所です。お楽しみに。