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室町・戦国時代の歴史・古文書講座

歴史学研究者、古文書講師の秦野裕介がお届けする室町・戦国時代の知識です。

印判状のバリエーション

今日は印判状を見て行きます。と言っても、印判状は「印判が捺してあるもの」なんで、印判状と一口に言いましても本当に様々なものがあって、これを「印判状」の一言で処理するのも如何なものかと考えています。

 

昨日まで見てきた織田信長の印判状です。朱印状とも言います。

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国立公文書館所蔵『朽木家古文書』

印判の位置を見て下さい。日付の下(日下=にっか)に捺してあります。織田信長の名前の上になります。これは信長の個人の印ですね。磯野員昌が発給した文書に「天下布武」は捺されないです。

 

次は後北条氏の印判状を見て見ます。

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国立公文書館所蔵『豊島・宮城文書』

www.digital.archives.go.jp


文書の翻刻や解説は次回に回します。

国立公文書館所蔵の「北条氏印判状」です。印判の位置が年号のところにあります。一応署名者の石巻康保の花押もあります。この「虎印」が石巻康保の個人のものではないのはもとよりです。これは北条氏の意思を体現しているものとしか思えません。書止文言も「依仰状如件」という奉書的な言い方になっています。

 

これ、印判という一面だけで「印判状」に一括りも乱暴だな、と思わないでもありませんが、「じゃあどうすりゃいいんだよ」と言われてもなんとも言いようがありません。戦国時代になると様式論にこだわっていても意味がないのかもしれません。