秀持書状(『朽木家古文書』231 国立公文書館)
古文書入門です。
とりあえず現物。
翻刻。
則御書
返還申候
尚々御質物之儀者
失候而無御座候、其分
可被成御心得奉憑候
御貴殿様御書之通、委
細拝見申候、仍御質物之
御腰者并借書之儀蒙仰候
自㝡前如申候、当春籍
乱之砌、悉引失候而無御
座候、此等之趣可然様仁御
披露干要候、委曲猶
御使小衛門可申候、恐々謹言
む月一日 秀持(花押)
小河豊後守殿 御宿所
ちなみに書状の一番最初にある部分は「尚々書」の最後の部分です。いわゆる追伸部分の最後ですが、追伸の書く場所がなくなったため、書状の一番目立つところに入り込んでいるわけです。
したがって読むときには次の読み下しのようになります。
御貴殿様御書の通り、委細拝見申し候、仍って御質物の御腰者并びに借書の儀仰せを蒙り候、最前より申す如く候、当春錯乱の砌、悉く引き失い候て御座無く候、此等の趣然るべく様、御披露肝要に候、委曲はなお御使小衛門申すべく候、恐々謹言
尚々御質物の儀者失い候て御座無く候、其の分御心得なさるべく憑み奉り候、則ち御書返還申し候
ちなみに文中の「腰者」をググると「腰痛」ばかりが出てきます。「腰物」で刀など腰につけるもの、という意味で、おそらくそれでしょう。刀のことだと思われます。
意味をざっくり言えば、質物の腰物と借書は当春のゴタゴタの中で無くしてしまったことを書いてあります。