室町幕府奉行人連署奉書の解説2−竪紙奉書
では室町幕府奉行人奉書の現物を見ていきましょう。
前に出した京都府立京都学・歴彩館所蔵の『東寺百合文書』ニ−49号文書です。
ニ函/49/:室町幕府奉行人連署奉書|文書詳細|東寺百合文書
漢字はそんなに難しくないですね。では見ていきます。
東寺領若狭国太良庄造
外宮役夫工米事、先々免除
上者、可被止催促之由、所被仰
下也。仍執達如件。
永享二年閏十一月十日 肥前守(花押)
加賀守(花押)
掃部頭(花押)
難しいといえば3行目の二箇所の「秘 」「被」(特に下)と「所」と「仰」くらいでしょう。
「所」の崩し字はよく出てくるので覚えるほかなし。「被」に関しては部首が衣編であることがわかれば『くずし字用例辞典』でも調べられます。ちなみに古文書をやろうと思う場合は『くずし字用例辞典』をとりあえず揃えるべきです。私が担当する古文書教室でもこれを持ってくるように指示があります。私も汚部屋の片隅に埋もれていたこれを救出し、その後部屋をきれいにして現在は常に手の届く所に置いてあります。
では「被」を引いてみましょう。まず部首の検討をつける必要があります。「衣編」に見えますよね?
そこでまずこれを引きます。ちなみにこれは1993年に購入したものです。ほとんど使われていないので綺麗です。過酷な環境に置かれていたための汚れはありますが、使用感はほとんどありません\(//∇//)\
表紙の裏の索引を見ます。すると「衣編」が見えます。
964ページから見ていきます。
967ページにこんなのがありました。
「被」と確認できます。
「いやいやいやいや、ころもへんって分かりませんやん」という人のために『くずし字解読辞典』というものもあります。私が学生時代の古文書演習ではこれを買わされました。これは2代目です。初代はどこかに消えました。
これは部首別ではなく、起筆順です。最初の点から探すとこんなページが見つかりました。
3段目に「被」が見つかりました。ちなみに『くずし字解読辞典』は意外と使う局面がありません。個人的には『用例辞典』を使いこなして、それで足りない場合に『解読辞典』を使うという方がいいと思います。最初の一冊に『解読辞典』はお勧めしません。
中身はスッカスッカですが、長くなりましたので、続きはまた今度にしたいと思います。